大石紬の織り手は現在80代後半〜の世代がほぼ最後の世代となり、現役の織り手・後継者が失われて久しくなりました。
私は、そんな現状を危惧した地域の方が募集した河口湖町による後継者育成制度に参加して山梨県の伝統工芸士である90代の大石紬の織り手女性による研修を修了し、現在に至ります。

私自身もまだまだ未熟な織り手ではありますが、この先1人でも多くの大石紬の織り手を育成するために、昨年の11月から地元・大石とお隣の富士吉田市出身の20代女性お二人に大石紬の手織研修を行っています。

私が研修を受けていた際は、研修とはいえ管理してくれる方などいなかったので、自分で進捗を管理して、1つの工程が終わったら先生にお声がけして次の工程の手順を教わり(教わるというよりは、実際に先生に作業をして頂いて見て学び)、またその工程を自分でやってみて、終わったら次を教わり、失敗したり困ったらまた教わる…という形で、先生がつきっきりではなく1人で試行錯誤しながら織りを学ぶという環境でした。そのため多くの失敗を重ね、都度都度その対処法を教わってきましたが、その甲斐あってか今では多少のトラブルには動じることなく修正ができているようです。

現在の2人の研修生たちも、私と同じく全く織り経験のない状態からスタートしていますが、なるべく言葉で説明を加えて工程や作業を理解してもらえる研修を心がけています。それでも週1回ペースでの研修なので、初めての反物である縞柄の単半巾帯制作に取り組んで9ヶ月が経ちました。

織るために必要な緯糸となる極太の座繰り糸を作るところから始まり、経糸づくり、染色、縞割、機準備まで、工程によっては何度もやり直しをしながら、コツコツと作業を進めてようやく織りの工程に辿り着くことができました。

研修生たちは、これからまだ何週間かかけて織り進めることとなりますが、恐らく、次の反物の研修を始める頃には、座繰りや最初の方の工程の手順は忘れてしまっているかもしれません。研修は着尺地の織り方まで行いますが、反物が「織れる」と言えるようになるまでには何反も続けて織らなければなりません。

何事も簡単には身に付きませんが、手仕事を修得するにはやはり数を重ねて感覚を掴むより他はないような気がしています。原料である繭を作るところからスタートする大石紬の生産工程を何度も反復するにはとても時間がかかります。本当に長い道のりではありますが、大石紬の後継者としてお二人には諦めずにこの先も織り続けて貰いたいなと切望しています。